理美容業界の開業数減少と“多様化する働き方”

株式会社Reviewによる独自調査によれば、2022年から2024年の3年間で全国の理美容室新規開業数は8,608件から6,093件へと約2,500件減少しました。しかしこの減少は単なる業界の後退を意味するものではなく、理美容業界における「開業」の価値観やスタイルが大きく変化していることを示しています。かつては「独立してサロンを持つ」ことがゴールとされていましたが、現在はフリーランスや業務委託、シェアサロン、マンツーマン型施術など“自分らしく長く続けられる働き方”への関心が高まっています。特に都市部ではSNSを活用した若手スタイリストの台頭や、最小限の設備投資での開業が増加。大阪などの地方都市では地域密着型や住宅街立地の1人サロンが支持されるなど、地域ごとに異なる開業トレンドが見られます。

法律・社会変化による新たな開業スタイルと“見えない開業”

2024年4月に施行された「フリーランス新法」によって、フリーランスや業務委託で働く理美容師の取引環境が大きく改善され、契約内容や報酬支払いの明確化、ハラスメント対策の義務化など、個人が安心して開業できる制度的な後押しが進みました。また、高齢化社会の進展に伴い、訪問美容や介護美容といった“施設を持たないサロン経営”も注目されています。これらの変化により、理美容師の働き方は「店を持つ」ことだけに縛られず、開業届を出さずに働く「見えない開業」も増加。実際、美容師の約30%がオーナー(自営)であり、さらに約30%がフリーランスや業務委託として働いているというデータもあり、業界の構造が大きく変わっていることがうかがえます。

業界の今とこれから──“多様な働き方”への期待

全国の理美容開業数が減少する一方で、美容師の総数はむしろ増加傾向(2023年度末で約57万人)にあり、開業数の減少=業界の衰退ではありません。むしろ、サロンを持たずに訪問する、1席のみで開業する、シェアスペースを利用するなど、“開業”や“働く”の意味自体が多様化し、個々のライフスタイルや価値観に合わせた柔軟な選択肢が広がっています。人手不足や物価高、将来不安など課題も多い時代ですが、「自分の力で一歩を踏み出したい」という人を支える業界の新しい可能性が芽生えています。株式会社Reviewは、リアルタイムデータの提供を通じて、こうした“見えない変化”にも目を向け、業界の今と未来を応援し続けることを表明しています。