株式会社サインドの2026年3月期第1四半期(4-6月)決算が発表されました。

項目 2026年3月期 通期累計(1Q実績) 2026年3月期 通期業績予想(期初計画) 達成率
売上高 599 2,582 23.2%
EBITDA 136 645 21.1%

※単位:百万円。グループ連結の数字

サインド 2026年3月期第1四半期(4-6月)業績ハイライトと進捗状況

まず進捗がこちらになります。

項目 区分 2026年3月期 1Q(実績) 2026年3月期(予想) 進捗率
売上高 連結 599 2,582 23.2%
サインド 445 1,934 23.1%
パシフィックポーター 154 647 23.8%
EBITDA 連結 136 645 21.1%
サインド 104 549 19.0%
パシフィックポーター 32 95 33.7%
営業利益 連結 56 315 17.8%
サインド 98 516 19.1%
パシフィックポーター 28 82 34.6%
当期純利益 連結 25 164 15.4%
サインド 69 353 19.8%
パシフィックポーター 27 89 31.0%
調整後 当期純利益 連結 97 442 22.0%
  • サインド、パシフィックポーター各社の契約店舗数が堅調に増加し、売上高は計画通り推移
  • パシフィックポーター社は1Q時点でEBITDA・営業利益の進捗率が高めだが、2Q以降に販売体制強化のコスト発生を予定しており、計画範囲内の進捗
  • 連結ベースでは1Qに大型展示会出展費用などが発生し進捗率は低く見えるが、ストック型ビジネスの特性上、下期に利益が積み上がるため通期計画は順調に推移

2025年3月期第1四半期(4-6月)では進捗が26%を超える数字だったので気になるところではありますが、下期に積み上げていくということです。

売上高5.99億円(前年同期比+12.6%)、EBITDA1.36億円(同-4.8%)と、売上は堅調ながらEBITDAは一時的に減少。ARRは22.8億円(同+14.7%)、契約店舗数は21,355店舗(同+17.7%)と引き続き拡大。ARPUはBeautyMeritが15,456円、かんざしが4,192円で横ばい、カスタマーチャーンレートは0.64%と低水準を維持。
売上の成長はサブスクリプションモデルによる継続課金が牽引しており、サブスクリプション売上は前年比+15.1%と安定的に推移。展示会出展費用や外形標準課税など一時費用の影響により利益率はやや低下したが、ストック型ビジネスの特性から下期にかけて利益積み上げを見込む構造で、通期計画比でも進捗率は売上23.2%、EBITDA21.1%と計画通りのペースを維持しています。

サインド・パシフィックポーターともに、美容サロン向けの予約システムをSaasで提供しているため、とにかくまずチャーンレートが上がっていないことが大切です。チャーンレートは低い数字を維持できているようです。

サインド 事業概要と戦略

同社は理美容業界に特化したバーティカルSaaS「BeautyMerit」と予約一元管理システム「かんざし」を中心に、店舗と顧客のつながりを支援するサービスを提供。LINEミニアプリやGoogle予約、Instagram予約など多様なチャネルから予約を一元管理し、業務効率化と顧客体験向上を実現している。また、理美容ディーラーと連携し、店舗負担なくEC構築を可能にする仕組みや、POSシステムとの連携によるキャッシュレス決済強化など、周辺サービスも拡充。成長戦略では、契約店舗数拡大と顧客単価向上を柱に、アップセル・クロスセル、決済手数料収益(テイクレート)向上を目指す。さらに「BM Smart Mirror」β版を活用したリテールメディア事業にも着手し、予約・顧客データを活かした新たな収益源を構築。ネットワーク効果やパートナー連携を通じてシェア拡大を狙い、2026年3月期末に契約店舗数23,000店舗を計画している。

市場環境と中期目標

理美容サービス市場は約3.7兆円規模、全国約56.4万店舗の大市場で、ネット予約比率も男性51.5%、女性56.0%と年々上昇しており、予約一元管理システムの需要は拡大傾向にある。特に業界の約9割が小規模経営であり、業務効率化・DX需要は高い。同社はこの市場で、BeautyMerit・かんざしの合計契約店舗数21,355店舗、導入率約12.9%と一定のシェアを獲得。今後は営業拠点の全国展開や販売パートナー網の強化、継続的な機能開発によって競争優位を高める方針だ。2026年3月期の通期予想は売上高25.82億円(同+15.2%)、EBITDA6.45億円(同+13.2%)を見込み、中期的には2027年3月期に売上高30億円以上、EBITDAマージン20〜30%を達成する目標を掲げている。市場拡大とデータ活用型の収益モデル多層化により、持続的な成長を目指す姿勢が明確に示された決算であった。