美容業界の事業承継問題に挑む新会社誕生

美容業界の事業承継問題や人材不足など、構造的な課題の解決を目指し、サロウィン(東京都渋谷区)とfifth group(同)が美容室M&A事業を手がける合弁会社「X.Fund(カケルファンド)」の設立に合意した。両社は9月9日、合弁契約の締結を発表した。
美容業界では、経営者の高齢化や後継者不在によって年間数千件の美容室が廃業の危機に直面しているほか、美容師のキャリアパスの限定や小規模サロンの収益性・経営ノウハウ不足が顕在化している。こうした課題に対し、X.Fundは両社の経営資源を結集し、M&Aを軸とした新たな事業モデルで解決に取り組む方針だ。

両社の強みを融合した「3つのカケル」戦略

X.Fundの特徴は、サロウィンが持つ全国200店舗・約2,000名の美容師が利用するシェアサロン・プラットフォームと、fifth groupが展開する6ブランドの現場経営力・マーケティング力の融合にある。
「掛け合わせる」「掛け算する」「賭ける」という3つの“カケル”戦略を掲げ、サロンの経営改善や集客力強化、コスト最適化、人材育成など、多面的な支援を実施。M&A後の経営支援に注力し、買収したサロンの成長をコミットする体制を整える。

具体的には、買収サロンに対して両社のノウハウを活用した経営改善や集客力強化、グループ購買によるコスト削減、技術研修による人材育成などを行い、事業価値の最大化を図る。さらに、業界の未来を見据えた構造改革にも挑戦する姿勢を示している。

支援内容詳細
経営改善支援黒字化ノウハウや経営システムの導入
集客力強化ブランド力・マーケティングノウハウの活用
コスト最適化グループ購買による材料費削減、業務効率化
人材育成技術研修プログラムの提供、スタッフ定着率改善

事業内容と今後の展望

X.Fundは、美容室運営会社の株式取得や事業承継支援、経営コンサルティングを主な事業内容とし、後継者不足に悩むオーナーに新たな選択肢を提供する。サロンの理念や特色を尊重した承継、既存スタッフの雇用継続、地域密着の運営を重視するほか、技術研修や人材交流による美容師の成長機会の拡大、持続可能な経営基盤の構築も目指している。

新会社は東京都渋谷区に本社を置き、資本金は500万円。サロウィンはシェアサロン運営や経営支援サービスを展開し、fifth groupはヘアサロン事業やコンサルティング事業を展開してきた実績を持つ。
今後は、業界全体の持続的成長や美容師のキャリア多様化を推進する新たなプラットフォームとして、サロンオーナーや美容師、顧客、地域社会にとって価値ある選択肢を提供し、業界の発展に貢献していく見通し。