全国理美容製造者協会(NBBA)の「2025年サロンユーザー調査〔女性版〕」では、顧客が美容師のどのような能力に価値を感じているかが明確に示されました。現代の顧客は、単にオーダー通りに施術を受けるだけでなく、プロとしての「深い理解」と「的確な提案」をこれまで以上に求めています。
顧客との信頼関係を築き、失客を防ぐために現場で押さえるべきポイントを整理します。
これだけは押さえる3点
- 顧客が美容師に最も重視するのは「カットの技術(95.6%)」と「好みや希望を理解する力(91.5%)」である。
- 美容師からの提案を受けてスタイルを変更した顧客の満足度は約9割に達し、提案は顧客満足度を飛躍させるチャンスである。
- 顧客の56.5%が「美容師からヘアスタイルの提案をしてほしい」と考えており、プロ主導のカウンセリングへの期待は高い。
1. 顧客が本当に求めている「美容師の能力」
調査の結果、顧客が重視する項目は「センス」といった感覚的な要素以上に、「理解」や「悩みへの共感」といったコミュニケーション領域に集中しています。
【表1:重視する美容師の技術・能力(TOP2スコア)】
| 重視項目 | スコア(全体) | 15〜19歳 | 30代 |
| カットの技術やセンス | 95.6% | 94.2% | 95.0% |
| 好みや希望を理解する力 | 91.5% | 92.3% | 93.8% |
| 髪質やクセなどの悩みへの理解 | 88.9% | 90.4% | 92.3% |
| 自分に似合うスタイルの提案力 | 84.6% | 81.1% | 88.0% |
- どの年代でも9割以上の人が「希望を理解する力」を求めています。
- 30代では特に「悩みへの理解(92.3%)」や「提案力(88.0%)」への期待が高く、プロとしてのソリューション提供が求められています。
2. 「提案」がもたらす高い満足度とリピート率
「無理にスタイルを変えて失敗したら……」という懸念とは裏腹に、提案を受けた顧客の満足度は極めて高い数値を示しています。
【表2:美容師からの提案に対する行動と満足度】
| 項目 | ヘアスタイル提案 | ヘアカラー提案 | パーマ提案 |
| 提案を受けて変更した割合 | 68.7% | 74.1% | 54.0% |
| 変更したことへの満足度(計) | 89.0% | 90.8% | 84.1% |
- ヘアスタイルやカラーの提案を受けて実際に変更した人の約9割が「満足」と回答しています。
- 特筆すべきは若年層(15〜19歳)において、ヘアスタイルの提案を受けて変更した際の満足度が91.6%と極めて高い点です。
3. ヘアスタイルを決めるときの「情報の主導権」
顧客は自分で決めたいのか、それとも決めてほしいのか。その答えは「相談」と「SNS」の共存にあります。
【表3:ヘアスタイルを決めるときの参考情報(複数回答)】
| 参考情報 | 全体平均 | 15〜19歳 | 20代 |
| 美容師と相談する/任せる | 63.0% | 46.8% | 58.5% |
| SNSで見てよいと思ったスタイル | 19.5% | 54.8% | 40.2% |
| ヘアカタログから選ぶ | 12.9% | 14.8% | 8.4% |
- 全体では6割以上が「美容師と相談」して決めており、プロへの信頼は依然として厚いことがわかります。
- 一方で15〜19歳は「SNS(54.8%)」が「相談(46.8%)」を上回っており、SNS上の「理想」を、プロの技術で自分にどう落とし込んでくれるかを期待しています。
現場で活かせるアクションプラン
- 「好み」の言語化をサポートする: 顧客自身が気づいていない「好み」をSNSの画像などから紐解き、「理解してくれている」という安心感を作ります。
- 「変化」を恐れず提案する: 顧客の半数以上は提案を待っています。満足度9割というデータを自信に変え、季節や悩みに合わせたプロの提案を習慣化しましょう。
- SNSの画像をカウンセリングの起点にする: 若年層が持ち込む画像に対し、できない理由を探すのではなく、「そのスタイルのどこに惹かれたか」を深く聴取することが信頼に繋がります。