サロン経営において、客単価の向上は永遠の課題です。全国理美容製造者協会(NBBA)が発表した「2025年サロンユーザー調査〔女性版〕」を分析すると、店販商品を購入する顧客がいかにサロンの収益に貢献しているか、その実態が見えてきました。

「押し売り」を恐れて店販を敬遠するのは、サロンにとっても顧客にとっても大きな損失かもしれません。

これだけは押さえる3点

  • 店販商品を購入する顧客の年間利用金額は「79,118円」であり、全体平均よりも約2.9万円も高い。
  • 10代〜30代の若年層ほど店販商品に強い魅力を感じており、「効果があるものには投資する」意欲が高い。
  • 顧客が購入に至る最大の理由は「市販品より品質が良い(56.4%)」という信頼感であり、プロの目利きが求められている。

1. データで証明された「店販購入者」の圧倒的な年間価値(LTV)

店販商品を購入する顧客は、単に商品代を支払うだけでなく、サロンのメニュー利用自体も活発であることがデータから読み取れます。

【表1:年間利用メニュー・予約方法別の年間利用金額(平均値)】

区分項目年間利用金額(平均)
全体平均サロン利用者全体(年3回以上)50,081円
メニュー別店販商品を購入した人79,118円
ヘアカラーを利用した人64,281円
有料トリートメントを利用した人73,797円
予約方法別美容室利用時に次回の予約をした人87,938円
  • 店販購入者は、全体平均と比較して年間で29,037円多くサロンに支出しています。
  • 特筆すべきは「次回予約」をしている顧客の平均利用額で、予約と物販を組み合わせている層は、サロンにとって極めてロイヤリティの高い最重要顧客と言えます。

2. 「なぜ買うのか?」顧客がサロン専売品に抱くイメージ

顧客が店販商品に魅力を感じる理由は、単なる流行ではなく、その「圧倒的な価値」への信頼にあります。

【表2:店販商品に対するイメージ(複数回答・年代別抜粋)】

イメージ項目全体平均15〜19歳30代
効果・効能が高い37.7%51.2%51.5%
高めだがそれだけの価値がある35.8%41.4%45.9%
品質に安心できる30.8%41.4%37.8%
  • 30代以下の層では約半数が「効果が高い」「価値がある」と回答しており、若年層ほど「プロが選ぶ本物」への期待が強いことが分かります。
  • 15〜19歳の層では、店販商品に対して「とても+やや魅力を感じる」と答えた割合が68.5%に達しています。

3. 購入のきっかけは「現場での体験」と「プロのアドバイス」

ネット通販が普及した現代でも、美容室での購入理由は依然として「対面での信頼」にあります。

【表3:店販商品の購入理由と主な購入チャネル】

区分項目スコア
購入理由市販品に比べて品質が良いから56.4%
(複数回答)お店で使った時の印象が良かったから41.5%
美容師に勧められたから25.6%
チャネル美容室で直接購入した92.6%
(複数回答)ECサイト(Amazon、楽天など)で購入した7.9%
  • 購入理由のトップは「品質(56.4%)」、次いで「サロンでの使用感(41.5%)」です。シャンプー中や仕上げの際に、その商品の良さを実際に「体感」させることが最も強力な販促となります。
  • 購入チャネルは「直接購入」が9割を超えており、顧客の「今すぐ手に入れたい」というニーズに応えることが重要です。

現場で活かせるアクションプラン

  1. 「体感」をカウンセリングに組み込む: シャンプーや仕上げの際、顧客の悩みに合わせて選んだ商品を宣言し、施術中から期待感を高める。
  2. 若年層への提案を強化する: 10代・20代は品質への信頼が高く、購入予算も平均以上(15〜19歳:7,323円)であるため、早い段階からのヘアケア提案が有効です。
  3. 次回予約とセットで提案する: 年間利用額が最も高い次回予約層は、プロによる管理を求めています。次回の来店まで美しさを維持するための「必須アイテム」として、店販をセットで提案しましょう。